| 2025年1月 ウィッグ寄付実績 |
肌優・すずさら 1,293人
フルウィッグ・部分ウィッグ 812人
《髪は31cmから受付けています》
「ヘアドネーションした髪がどうなるのか知りたい」
そんな疑問を抱きつつも、詳しく知る術がなく、何となく気になったまま過ごされている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
こちらのページでは、つな髪に寄付いただいた髪がどのような工程を経てウィッグになり、どんな方に届くのかをご紹介いたします。
髪質や長さによって作製されるウィッグが異なる、つな髪ウィッグ。
あなたの髪がどんな医療用ウィッグに生まれ変わるのか、どうやって医療用ウィッグは作られるのか。ぜひご覧ください。
つな髪事務局には皆様の想いが込められた髪が、毎日たくさん届きます。
個人の方からご家族さま、学校のクラス単位で送ってくださる方、そしてつな髪サポート店や一般美容室の方などさまざまな方から髪が届きます。
毎日届く髪を順番に仕分けられるように、日付ごとに封筒を分けて管理しています。
1年の中で髪が多く届く時期は、3月や6~7月、12月。
1年の節目や、暑くなる時期など、「髪を切りたい」そんなときに一緒にヘアドネーションくださる方が多い傾向にあります。
先に到着した髪から順番に、つな髪事務局スタッフが封筒を開けて取り出します。
取り出した髪は、定規を用いて長さを測り、目視により髪色を確認し、傷まないよう丁寧に分けていきます。つな髪では長さや髪色によって、4種類のつな髪ウィッグか、美容師練習用カットウィッグのいずれかに使用されます。
◆ 髪色が暗い(黒に近い)場合
◆ 髪色が明るい場合
なぜ髪色やくせで髪を分別するのでしょうか?後から染めたり、縮毛矯正するのはだめなのでしょうか。
疑問に思われる方も多いポイントの理由は、寄付いただいた髪に加工処理を行わないためです。
つな髪では、髪本来の質感を残したナチュラルな髪のウィッグを提供するために、薬品による髪の加工処理<染色やストレート加工>をせず、殺菌・消毒のみ行います。そのため、到着時の髪色・髪のくせがそのままウィッグに使用されることとなります。
お子さまが使用されるウィッグのため、暗い髪色のもの、そして加工が必要のないくせが少ない髪を医療用ウィッグ作製に使用させていただいております。
なぜ、髪の加工処理を行わないことがナチュラルな髪につながるのかは、下記「殺菌・消毒作業」の項目をご覧ください。
分別された髪は、作製するつな髪ウィッグに応じて、まとめて海外の工場に発送されます。
工場では、薬品消毒、熱処理・流水作業によって、髪を殺菌し、植毛のための準備を整えます。
このとき、一般的な人毛ウィッグ作製で行われる、髪の加工処理<染色やストレート加工>は行いません。薬剤を用いて髪の染色や加工を行うと、髪のキューティクルが剥がれてしまうためです。
キューティクルは、髪の表面をうろこ状に覆っています。髪の油分と潤いを保ち、健康的なツヤを維持する、いわば髪を守る役割を果たしています。
また、ツヤだけではなく、髪が絡まないようにする性質や、傷まないように保つ耐久性も持っています。
染色や薬剤などで加工すると、キューティクルが剥がれます。通常の地肌から生えている髪の場合は、新しく髪が伸びるのを待つことができますが、ウィッグの髪は生え変わるということがありません。剥離したキューティクルを戻すこともできません。
寄付された髪が備えているキューティクルを、できる限り剥がさないように扱う。加工処理を行わない。そうすることで、ツヤがあり、手触りがよく、耐久性のある髪をウィッグに植毛することができます。
キューティクルを保持する耐久性のある髪は、ヘアカラーやパーマ、アイロンを用いたヘアアレンジなど、地毛と同じようなおしゃれを楽しむことができます。
キューティクルを保ったまま洗浄され、きれいになった髪は、お店で販売されている医療用ウィッグと同じ作り方で、いよいよ植毛されます。
髪の表面のキューティクル(イメージ)
髪の長さや色ごとに分けられた髪は、つな髪の専用倉庫にて、一時保管されます。
つな髪ウィッグのお申込受付や、希望者へのご連絡などの準備が整い次第、必要な量の髪が海外に発送されます。
いわばこちらの倉庫は、髪がウィッグになるまでの待合室です。発送されるその時まで、髪は静かに息を潜めて待っているかのようです。
殺菌されきれいになった髪を、職人が1本1本手作業で植毛します。
頭をすっぽりと覆うフルウィッグを作るために必要な髪の量は、およそ3キログラム。
3キログラムの中からさらに使える髪を選別し、髪をベース生地一面に植毛していきます。
身近なTシャツなどの布を引っ張ってみてください。
細かい繊維の目が見えるでしょうか。
糸と糸が交差する編み目に、髪を通して結ぶのが植毛です。
植毛とは、ウィッグの頭皮にあたる「ベース生地」に髪を結びつけることです。
ウィッグのベース生地は通常、通気性の良いナイロンなどの化学繊維を使用した、頭部を覆う帽子のような形状です。
つな髪ウィッグには、オーガニックコットンを使用したものもありますが、いずれも繊維の小さな網目に、髪を1本ずつ通し、ほどけないように結んでいくことで、ベース生地から髪が生えているような姿になります。
植毛に使うのは植毛針一本。とても神経を使う、根気のいる作業です。
また、植毛の際には髪を結ぶことだけを気にすればいいわけではありません。自然な髪を再現するために、2つの工夫が必要です。
1つ目は、髪の上下<根本と毛先>を揃えることです。ここでいう根本とは、寄付いただいたときの髪の切り口です。
キューティクルが残った髪の上下をバラバラにすると、うろこ状のキューティクルによって髪が互いに絡まり、くしゃくしゃになってしまいます。上下を揃えて初めて、キューティクルは絡みにくさ、手触りの良さを発揮します。せっかく残したキューティクルを台無しにしないためにも、必ず上下は揃えなければなりません。
2つ目は、髪の向き<進行方向>です。人間の髪の毛はまっすぐ下に向いているように見えますが、実は生えている場所によって髪の進行方向があります。頭頂部の髪は正面に向かって生えていたり、つむじから生えている髪は独特の膨らみがあったり…。自然な毛流れを再現するためには、そうした工夫も欠かせません。
手触りや毛流れは、ウィッグの見た目の自然さや質感を左右する、重要なポイントです。つな髪では、時間はかかるものの、1本1本人の手で確認し、コントロールしながら植毛できる手植え形式を採用しています。
微細に調節しながら植毛することで、寄付いただいた髪のナチュラルさを引き立て、自然な見た目の医療用ウィッグを作製します。
インナーキャップウィッグ
肌優。
マークされた箇所が
帽子のため、植毛不要。
植毛とは生地の繊維の目に髪を結びつけることとお話しました。
では、どのように結ぶのでしょうか。ウィッグは一度植毛した髪が増えたり伸びることはありません。そのため髪が抜けないように、髪を結ぶときには二つ折りにして、しっかりと結びます。
どの髪も二つ折りにされるため、寄付いただいた髪を植毛すると、実際の長さよりも短くなります。そのため、頭頂部から髪の毛先までを覆う必要があるフルウィッグ作製には、31cm以上の長い髪を使用します。
つな髪ウィッグの中でも、肌優は、短い髪でも植毛することができる髪付き帽子(帽子ウィッグ)です。
帽子をかぶって着用するため、頭頂部の植毛が必要ありません。短い髪でも植毛することができる「肌優」は、ヘアドネーションとしては特殊なウィッグと言えるかもしれません。
髪の仕分けから植毛まで。使用される方のストレスを減らすため、たくさんの工夫が凝らされて完成したつな髪ウィッグは、海外の工場からつな髪事務局に返送されます。
完成したウィッグに問題がないかを確認した後、医療用ウィッグ専門美容師がシャンプーとブローをして整えます。
作られたつな髪ウィッグは専用の箱におさめられ、ウィッグを待っている子供たちのもとへ届けられます。
カットを希望される方には、直営サロンにて個別にカットを行ってから、ウィッグをお渡しします。
ご寄付いただいた髪が到着してから、つな髪ウィッグを待つお子さまの手元に届くまで、およそ2ヶ月半ほど。寄付者様が髪を伸ばしてくださった時間を含めれば、もっと長い時間。
想いがたくさん込められたつな髪ウィッグは、お子さまの手元に届いてようやく、完成となります。
ノーカットから一人一人に合わせて
ウィッグをカットする練習に使用します
医療用ウィッグのカットは、通常のヘアカットとは異なり、失敗したら伸びた髪で馴染ませる、ということができません。ヘアカラーで誤ってベース生地を染めてしまった場合も、頭皮とは違い元に戻りません。植毛した髪は伸びることがなく、ベース生地に付着した染料を、髪が抜けないように落とすことは難しいからです。
失敗が決して許されないという点で、医療用ウィッグのカットには、高度な技術が必要と言えます。
医療用ウィッグは、症状や使い方によっては使用者の毎日を共にするものです。少しの失敗による違和感が、日々のストレスや不安の要因になってしまいます。
病気の症状で苦しんでいる方のストレスを軽減するためにも、医療用ウィッグをちゃんと切れる人材「医療用ウィッグの美容師」が医療用ウィッグ業界には必要です。
髪色や髪質がお子さま用のウィッグの基準に満たない場合の髪は練習用ウィッグとして生まれ変わり、そうした人材を育成するために使用されます。
医療用ウィッグを切れる美容師がたくさん育てば、医療用ウィッグ使用者の髪はもっと自由に、おしゃれに過ごすことができ、生活も支えることができるという考えのもと行われている取り組みです。
つな髪ウィッグ・美容師練習用ウィッグは髪に悩みを持つ子どもたちの今を、美容師練習用ウィッグは髪に悩みを持つすべての方の未来を支えるウィッグです。
これからも、ご寄付いただいた方の想いをつなげられるように、それぞれの最適な活動のカタチを模索していきます。ご理解いただけると幸いです。
いかがでしたでしょうか。
想いを込めて伸ばした髪が、どうなるかはきっととても気になるポイントだと思います。
つな髪に寄付したら、髪はどうなるのか、少しでも伝わると大変嬉しいです。
つな髪はこれからも皆様の想いを尊重しながら、髪に悩みを抱える方をサポートできるような活動を続けてまいります。
2025年 1月7日
つな髪寄付者数
160,000人達成しました!
ウィッグプレゼント数
肌優®・すずさら 1,293人
フルウィッグ 812人
2024年 12月20日更新
皆様の想いの詰まったウィッグを、プレゼントさせていただきました。寄付にご協力下さった皆様ありがとうございました。